●狂犬病とは
狂犬病ウイルス感染によって引き起こされるウイルス性疾患です。
発症した場合には、有効な治療法がなく、極めて希な例外を除いて死に至ります。
はじめは、食欲不振や発熱、悪寒、頭痛、悪心など風邪のようなな症状が現れます。創傷部に痒みや痛みを感じることもあります。その後、興奮や不安感、せん妄、精神錯乱、麻痺などの神経症状があらわれます。これは2-7日続きます。また、半数以上の症例で、水を飲もうとした時に咽喉頭の筋肉や全身の痙攣が起こる「恐水症状」がみられます。
その後昏睡に陥ります。昏睡は3-7日続き、死に至ります。
狂犬病は一部地域を除き世界中で発生しており、毎年50,000人以上の方が亡くなっています。特に発生の多い地域はアジアや南米、アフリカです。米国や、隣国の韓国、中国、ロシアでも発生があります。

日本では1957年以降、人および犬の狂犬病は発生していません。
●狂犬病ワクチン
日本の狂犬病ワクチンは、病原性が弱いウイルスを鶏胚初代培養細胞において増殖させ、さらに薬剤を使ってウイルスの感染性をなくした(不活化)したワクチンです。
このワクチンは、狂犬病動物に咬まれた後の発症予防(暴露後免疫)のほかに、狂犬病常在地域への暴露前免疫にも使用できます。
●接種スケジュール
①暴露前免疫
厚生労働省のホームページでは、「狂犬病の流行地域に渡航する場合であって、動物との接触が避けられない、又は、近くに医療機関がないような地域に長期間滞在するような方は、渡航前に予防接種を受けることをお勧めします。十分な免疫力を得るためには、4週間隔での2回の皮下注射と、初回注射時より6~12か月後の追加接種が必要となります。なお、暴露前のワクチン接種を行っている場合であっても、犬などに咬まれて感染した可能性がある場合には暴露後のワクチン接種が必要です。事前予防接種の履歴が明らかでない場合には、暴露後免疫は、接種初日(0日)と3日後の2回接種をすることになります。」と記載されています(2008年1月現在)。
暴露前免疫の用法用量は、1.0mLを1回量として、4週間間隔で2回皮下注射し、さらに6~12か月後1.0mLを追加します。

②暴露後免疫
厚生労働省のホームページには、暴露後の対処方法として「日本国内の場合、狂犬病は発生していないので感染の心配はありません。海外、特に東南アジア等の流行国で狂犬病が疑われる犬、ネコおよび野生動物に咬まれた場合、まず傷口を石けんと水でよく洗い流し、出来るだけ早期に医療機関を受診してください。咬んだ動物の特定ができ、予後を観察できる場合、咬まれてから2週間以上その動物が狂犬病の症状を示さない場合には、咬まれたときに狂犬病に感染した可能性を否定てきるので、暴露後ワクチンの連続接種を中止できます。」との記載があります。
暴露後免疫の用法用量は、1.0mLを1回量として、その後第1回目を0日とし、以降3、7、14、30、および90日の計6回皮下に注射します。

☆流行地域で狂犬病に感染した疑いがある場合には、できるだけ早期に狂犬病ワクチンの接種を受ける必要があります。
また、現地医療機関で暴露後のワクチン接種を開始したが、まだワクチンプログラムを完了しておらずに帰国した場合は、狂犬病の発症を確実に防ぐために、国内でワクチンプログラムを必ず完了させることが必要です。
●狂犬病流行地域に渡航の際の注意事項
渡航中に狂犬病に感染しないよう、以下のことについてご注意ください。
・滞在中にむやみに動物に手を出さないようにしましょう。
・万が一、滞在中に犬等に咬まれた場合には、
①すぐに傷口を石けんと水でよく洗いましょう
②現地医療機関を受診し、傷の手当てと狂犬病ワクチン接種を受けましょう
③帰国後に検疫所(健康相談室)に申し出ましょう
☆狂犬病ワクチン予防接種問診票←こちらを印刷してお使いください。
☆狂犬病ワクチンは生産数が少ない(年間4~5万本)ため、接種前にメーカーへの登録が必要です。
ご予約は電話でも結構ですが、渡航先と渡航予定日、渡航先滞在日数をご予約時にお伝えください。
メーカーの認可が下りるまで1週間程度の日数が必要ですので、ご了解ください。
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